猫の郵便 プラットホーム

【ノエルがシーソーに揺れ】麻布の町なかから忽然と姿を消した猫の安否は分からずじまい。そして、またも鉄腕さんから引き継いだビュッテさんが、定刻に姿を現わさず背筋に寒気が走った。一時間おきに探しに行って、巡回５度目でようやくビュッテさんがヌーっと出て来てくれた。何もなくて良かった。それでホッと一安心し、対面給食し事無きを得たけれど、地域猫活動は毎日々々が筋書のないドラマ仕立て、本当に何が起こるか分からないサスペンスを孕んでいる。外野から面白半分で冷笑されるほど〝呑気な稼業〟ではありません。当事者になって生身で経験しなければ知り得ない生体感です。

そうして、「ビュッテさん、何事もなくて良かったよー」と胸を撫で下ろして家に着いたら、今度は外事情とは違う生き死にの現実に待ち構えられていた。去年の夏以降、今の猫たちの陣容になってからあり得なかったトイレ異変でした。きっとトイレに入る気力が持てなかった。それで入口のそばに〝して〟しまった。多分。状態から「相当悪い」と察しました。死の淵に手招かれる重患の一歩は、こうして始まります。あの子の時もあの子の時もそうでした。様子からして、「ノエル」と直ぐ分かりました。何度も経験しても、淋しくやる瀬なくなる直撃、こうなると対応はもう優しさしかないのです。



























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